今回は北海道産の大豆「とよまさり」についてです。
とよまさりは豆腐、味噌、納豆などの材料としてよく使われています。
この記事をお読みの方も一度は使われたことがあるのではないでしょうか。私も味噌用作りによく使っています。
実はこの「とよまさり」、品種名ではないのです。
国産大豆で最も多く利用されている
「とよまさり」は、国内において国産大豆の中で最も多く利用されている大豆で、北海道で栽培されています。
製品別でみても納豆を除き、とよまさりが一番多く使われています。
ただし納豆でもユキシズカのような小粒の品種が主流の中、大粒品種のとよまさりは3位に入っています。
これだけシェアが多いことから、広大な栽培面積を持つ北海道産ということだけでなく、どの大豆食品に使っても美味しいということが言えます。
出典:国産大豆の需要をめぐる動向 令和5年11月 農林水産省 農産局 穀物課
大豆選びに迷ったら「とよまさり」を選べば間違いないです
「とよまさり」は複数の大豆品種をまとめた呼び方
さて、「とよまさり」は実は品種名ではありません。
複数の大豆品種をまとめた「産地品種銘柄」と呼ばれるものです。
産地品種銘柄とは
産地品種銘柄とは、農林水産省が定めた、特定の産地で栽培される農産物のブランドです。
産地品種銘柄に指定されると、産地と品種名を表示することが可能になります。
「とよまさり」ではなく「北海道産とよまさり」という名前で売り出すことで、北海道産大豆の高品質なイメージを伝えるブランドとして確立ができます。
大豆以外にも、米や小麦粉なども産地品種銘柄として販売されており、代表的な例としては米では「新潟県産コシヒカリ」、小麦粉では「北海道産春よ恋」などがあります。
とよまさりの構成品種
とよまさりは、7つの品種から構成されています。(2024年3月時点)
- トヨコマチ
- トヨハルカ
- トヨホマレ
- とよまどか
- とよみづき
- トヨムスメ
- ユキホマレ(ユキホマレRを含む)
(品種群は毎年見直されるため品種数は増減することがあります)
これらの品種は形質が非常に似ており、品種間の差別化が難しいことから、「とよまさり」という品種群としてまとめて扱われています。
産地品種銘柄における品種群
銘柄は、単一品種による設定が基本ですが、形質が酷以しており品種間の差別化が難しく、品種間の品質の評価に差がなく、取引上で同一銘柄とすることについて、取引関係者の合意が形成されるものについて、複数の品種を同一銘柄として取り扱うことができるとしています。
出所:農林水産省 農産物検査を行う産地品種銘柄の取扱い
したがって、タイトル中の「ユキホマレ」と「とよまさり」の違いは?という問いに対しては、ユキホマレはとよまさりの一部であり、独立して比較できるものでは無いということになります。
ユキホマレはとよまさりの中で最も多く作られている品種
ちなみに、とよまさりの中でユキホマレが最も作付面積が多い(約8割)です。
この理由はユキホマレが
- 収穫までの期間が短い
- 病気や害虫などに強く育てやすい
- 茎が倒れづらく、実が割れにくいためコンバイン(刈り取り農業機械)を使った収穫に適している
からです。
2 栽培特性
出典:国産大豆の品種特性 ~加工適性と栽培特性~ 農林水産省
(1)栽培上の長所・短所
白目品種の中では成熟期が最も早く、茎水分の低下も速く、かつ耐倒伏性が強く難裂莢性であることからコンバイン収穫に適した品種です。また、開花~着莢期の低温により発生するへそ周辺の褐変が少ないため、外観品質的にも安定しています。
(以下省略)
「とよまさり」として販売されていることも多い
個別の品種名を掲載せず「とよまさり」として販売されていることもあります。
この場合、品種名の特定はできませんが大体はユキホマレだと思われます。
まとめ
- 「とよまさり」は国産大豆の中で味噌作りに最も多く利用されている
- 「とよまさり」とは複数の大豆品種をまとめた「産地品種銘柄」
- 「ユキホマレ」が「とよまさり」の約8割を占める
以下の記事では味噌作りにおススメの大豆を紹介してるのでぜひお読みください。