国家資格、民間資格の違いって何だろう。メリットやデメリットはあるのかなあ
このような疑問にお答えします。
また国家資格から民間資格へと格上げする事例についても紹介しています。
「資格」の意味
最初に「資格」という言葉があいまいなので、ここで定義しておきます。
資格は、一般的に次の「①」または「①と②両方」で使われます。
- ①あることを行うために必要な条件
-
持っていないと仕事ができない
- ②技能の習得レベルを評価するもの
-
持っていなくても仕事ができる。検定とも呼ばれる。
本記事での「資格」は、①と②両方の意味を含めて使用しています。
国家資格と民間資格の違い
資格は、一般的に大きく分けて国家資格と民間資格の2つに分類されます。
国家資格とは
国家資格は、国の法律により、その分野の能力・知識があると認められ、特定の職業に従事すると証明される資格です。信頼性が非常に高いとされています。
国家資格は「法律」が絡んでいるのがポイントです。
国家資格とは
出所:文部科学省 国家資格の概要について
国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
医師や弁護士、公認会計士のような業務独占資格から、ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士のような技能を評価するものがあります。
国家資格と法律の例)
- 医師…医師法
- 弁護士…弁護士法
- 国家検定資格(FP技能士など)…職業能力開発促進法
民間資格とは
一方、民間資格は、一般的に民間の団体や企業が発行する資格のことを指します。法律は関係していません。
TOEICやマイクロソフト認定資格などがこれに該当します。
民間資格は、特定の分野での専門性を証明するため、就職活動やスキルアップに役立つとされています。
国家資格と民間資格のメリットとデメリット
国家資格のメリット・デメリット
国家資格の最大のメリットは、その信頼性や権威性にあります。
国家が認定する資格であるため、その資格を持つことで特定の職業に就くことが法律で認められています。
一方で、資格試験を受験するため要件に、大学卒業や一定期間の実務経験が求められるものも多く、取得には高度な専門知識と技術が必要です。試験も難易度が高いです。
また、更新のための継続的な学習や研修が必要な場合もあります。
民間資格のメリット・デメリット
民間資格のメリットは、その取得が国家資格と比べると比較的容易である点や、自分の興味や目標に合わせて選ぶことができる点です。
また、特定の業界や企業が重視するスキルを証明できるため、就職や昇進のチャンスを広げることができます。
しかし、民間資格は発行団体によって内容や難易度が異なり、一概に評価がしにくいということがデメリットとして挙げられます。
民間資格から国家資格への格上げ
民間資格から国家資格へ格上げされることがあります。
ほとんどが民間の検定が技能検定に格上げされるケースです。
つまり、職業能力開発促進法に基づき、厚生労働省が国家検定資格として認めるようになったものです。
近年国家資格化されたものに次のような例があります。
2016年:キャリアコンサルタント
2021年:賃貸不動産経営管理士
2022年:愛玩動物看護師
これらの資格は、社会的なニーズの高まりや、業界の専門性・公益性を考慮して国家資格化されました。
国家資格化されると、以下のメリットがあります。
- 資格の信頼性・権威性が高まる
- 資格取得のための基準が明確になる
- 資格者に対する社会的な評価が向上する
- 資格者同士のネットワークが形成されやすくなる
民間資格から国家資格への格上げは、資格の価値や社会的な認知度を高めるため、資格者に対する需要増加にもつながります。
一方で、国家資格化されると、以下のデメリットもあります。
- 試験の難易度が上がる
- 資格取得にかかる時間と費用が増える
- 民間資格時代よりも規制が厳しくなる
今後は、さらに民間資格が国家資格化される予定があるもので、自身の仕事に関係するものがあれば今のうちに取得しておくと将来的に有利になる可能性があります。