こんにちは。まーちゃんです。
麹には生麹と乾燥麹がありますがどう違うのでしょうか。
それぞれの特徴について書いてみました。
- 生麹と乾燥麹の違い
- 乾燥させるとなぜ保存性が高まるか?
- 生麹と乾燥麹のメリット・デメリット
生麹の特徴
生麹とは、蒸した米に種麹を付けて、麹菌を繁殖させた状態のものです。
麹菌が生きているので酵素活性が強い
生麹は麹菌が生きて活動しており、どんどん酵素を作り出している状態なので酵素活性は強いです。
なお酵素活性とは、酵素によって食べ物などを変化させる強さのことです。
酵素活性
酵素の示す触媒作用の有無,あるいは触媒作用の強さをいう。生体蛋白質である酵素は,種類に応じて種々の化合物の分解,合成,酸化,還元,異性化を触媒する。…
コトバンク
保存期間が短い
注意する点は、麹菌やその他の微生物により食材の変色や変質が起こりやすいことです。
保存期間を延ばすには、冷所で保管する必要があります。
生麹の保存期間は冷蔵庫で2週間、冷凍庫で3か月程度と言われます(鈴木こうじ店さんより)。
そのため一般のスーパーでは売られていません。
乾燥麹の特徴
乾燥麹は、生麹を乾燥させたものです。
麹菌は生きておらず、麹菌が作った酵素と胞子が含まれていると考えられます。
微生物が繁殖しにくいので保存期間が長い
乾燥麹の保存期間は、常温でも半年以上と長めです。
保存性の良さから、スーパーでも売られています。
微生物が繁殖しにくいのは、乾燥麹の水分活性が低いから
乾燥麹が長持ちする理由は、乾燥させることにより「水分活性」が下がるためです。
水分活性とは、食品中に含まれる水のうち、自由水の割合を示す値(最大値が1.0)です。
自由水は文字通り食品に含まれる自由に動くことのできる水のことで、微生物が増殖する時は自由水が必要です。
水分活性が低い、つまり自由水が少ないと微生物が増殖できなくなります。
ほとんどの食中毒菌は水分活性が0.94以上(データによっては0.93以上)必要で、それ以下になると増殖することができません。
細菌の増殖と環境~水分編~ 株式会社 食環境衛生研究所 より
乾燥麹の詳しい水分活性は分かりませんが、水分活性が0.9以下なのは間違いありません。
これだけ低いと微生物はほとんど繁殖できず品質の劣化を防ぐことができます。
また麹菌は食品の水分活性が0.9以下になると生きることができませんので、乾燥麹の麹菌は死滅または胞子のみが存在していると考えられます。
生麹よりも酵素活性は劣る
乾燥麹には麹菌がいませんので、新たに酵素は増えることはありません。
酵素は時間とともに徐々に分解していくので、生麹と比較すると酵素活性は劣ります。
酵素は温度が高くなると分解されやすいので、酵素活性の低下が心配なら冷蔵庫や冷凍庫に保管しておくのが良いです。
乾燥麹は固いので食感に影響する
乾燥麹は水分が少なく固いので、乾燥麹をそのまま味噌作り等に使うと粒々の食感が残りやすくなります。
食感が気になる場合は水やぬるま湯(~50℃)で1~2時間ほど浸して生麹に近い状態に戻してから使うのがおすすめです。
胞子は残っているので種麹としても使える
麹菌本体は死滅していますが、胞子は乾燥しても機能は残っているので、水と栄養分があればまた麹菌が増えて増殖可能です。
種麹と同じように蒸米と一緒に混ぜれば、新しく麹を作ることができると思われます。
生麹と乾燥麹の比較
生麹 | 乾燥麹 | |
---|---|---|
酵素活性 | ||
保存性 | 保存期間が延びる) | (冷所保存や塩切り麹で|
入手しやすさ | (ネットショップや自作) | (スーパー) |
まとめ
- 酵素活性は、乾燥麹より生麹の方が高い
- 乾燥麹は水分活性が低いため保存期間が長い
- 乾燥麹をそのまま使うと食感に差が出るため水で戻すのがおすすめ
参考文献: